この野球を未来の障害児童たちに

 

 この世に無用な人間など誰ひとりいない。人間の可能性は無限である。

 創立者である岩崎廣司氏の理念です。本連盟は、突然の事故や病気でドクターストップがかかり野球を断念して、泣きながら野球用具を燃やしたが、愛用の磨き込んだグラブだけはどうしても捨てられなかった、そんな人たちの集まりです。障がい者スポーツが浸透していなかったころ、障がい者が集まって野球ができるような環境はありませんでした。でもどうしても野球がやりたい、その一心で草むらに障がい者仲間と集まりチームを結成し、仲間を増やしていきました。ですからグラウンドに再び立てるだけで幸せを感じている選手ばかりです。障がいを持っていても当たり前に野球を選べることは奇跡のような喜びです。

 障がいを抱えてスポーツなんて無理だと諦めながら憧れていた子供たちに、突然の事故や病気で健康な身体を失った絶望に襲われる若者に、青空のもと仲間と白球を追える、太陽の下でボールを投げる感触やグラブの匂いをともに味わってもらいたい。足りない部位は努力と仲間でカバーをし、走れないなら仲間が代わりに走る、そんな野球を次世代にも残していくことが本連盟の使命だと感じています。

また、指導者の養成も急務です。障害者のスポーツ指導は、障害者の社会的、心理的、さらには原疾患と損傷を受けた時期を充分に把握し安全に留意できる医学的理解の上に立った指導が必要になります。受傷後久方ぶりにスポーツを試してみようとする場合、障がいをもっていて初めてスポーツにチャレンジする場合には、非常に不安を抱きます。他人との比較は避け、一歩一歩上達していく喜びなどがこれらの不安を払拭してくれると信じています。
運動後の爽快さの体験も運動を継続しようという意欲を喚起してくれることでしょう。外に出て人と出会い身体を動かすことで人生は活性化します。
その支えとなる指導者の育成にも力を注いでいます。

多くの皆様方のご支援とご協力により、年二回の全国大会、四年に一度世界大会も開催することができています。これからもスポーツ・フォア・オールの精神をひろめていくため努力を続けます、皆様の応援を何卒よろしくお願いいたします。

理事長 山内 啓一郎

2018年 12月

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